ミレー「接ぎ木をする人」:バルビゾン派の画家たち

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1855年のサロンは、同年に開催された万国博に吸収される形で行われた。そこにミレーは、三点の作品を出展し、うち「接ぎ木をする人(Le greffeur)」が入選した。この作品は、評価は高かったが売れなかった。当時のミレーは生活に困窮していたので、是非売りたかったのである。

そんなミレーの窮状を、友人のルソーが救った。ルソーは作品が売れて金が入っていたので、その金でミレーを助けてやろうと思ったのである。ただ、露骨に金を渡してはミレーの自尊心を傷つけるので、アメリカ人が買いたいといっているといって、自分はその仲介者としてこの絵を買った。

接ぎ木の作業をする農夫の傍らに、子どもを抱えた女が見守っている。この男女は、もしかしたらミレーとその妻カトリーヌかもしれない。カトリーヌは子沢山で、つねに乳飲み子を抱えていたといわれる。

(1855年 カンバスに油彩 80.5×100cm ミュンヘン、ノイエ・ピナテーク)





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