対中戦争に前のめりな現職防衛大臣

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雑誌「中央公論」の最新号(2021年10月号)が、「台湾有事と中国包囲網」と銘打って中国脅威論をあおる文章を掲載している。その中に現職防衛大臣岸信夫へのインタビューがある。それを読むと、中国の脅威は日中戦争の一歩手前まで来ているというような錯覚をもたされる。その責任はひとえに中国側にあり、日本はそんな中国との全面対決に向けて、オールジャパンで、つまり国をあげて備える必要があるといった差し迫った焦燥感が伝わってくる。

つい最近までは、北朝鮮の軍事的脅威が日本の防衛力強化の言い訳に使われていたものだ。安保法制の改正や軍事力の強化といった一連の動きは、表向きは北朝鮮の脅威にそなえるという名目でなされてきた。ところがいつの間にか、日本をめぐる軍事的な脅威はもっぱら中国が原因だとすり替わってしまったようだ。その中国との予想される対決に向けて、日本は国をあげて備えねばならず、当然防衛予算も増大させねばならない、とほかならぬ現職の防衛大臣が強調するようになった。

これはおそらくアメリカの政策変更を踏まえてのことだろう。バイデンはいまや、対中人種戦争に向かって邁進しており、中国を完膚なきまでに破壊したいと考えているようだ。バイデンの怖いことは、現実的な配慮なしに本気でそう思っているフシがあることである。それはおそらく、噂されているような彼の認知症と深い関連があるのだと思う。今の世界は、頭のいかれかかった男に船の舵取りをゆだねているような危険な状態に置かれているわけだ。

そのバイデンの危険な試みに日本も付き合おうというのだろうか。バイデンの野望が空想的なことは、いまの世界では、大国間の戦争は一方的なものにはならず、勝者といえども壊滅的な打撃をこうむるということから明かだ。もしかしてバイデンは、中国をせん滅するためには、アメリカの都市のいくつかが消滅してもかまわないと考えているのかもしれないが、そのバイデンに日本が付き合って、中国と戦争を始めたらどいうことになるか、小学生でも予想はつくだろう。

岸信夫は安倍晋三の実弟である。安倍晋三同様長州閥の意識が強いと思われる。長州閥は近代日本を軍国主義国家に作り上げるについて多大の貢献をした。そういう好戦的な性向を、安倍も岸も受け継いでいることは十分考えられる。かれら兄弟はどうも、一度は骨抜きにされた日本の軍国主義的勇ましさを、もう一度取り戻したいと考えているのではないか。岸のこのインタビューを読むと、そうした懸念が沸き起こるのを禁じ得ない。





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