クールベ「オルナンの埋葬」:バルビゾン派の画家たち

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1850年のサロンに「石割り」とともに出展した「オルナンの埋葬」は、賛否に渡って大変な反響を巻き起こした。肯定的な評価は、民衆の姿に、1848年の革命における庶民のエネルギーを感じ、否定的な評価は、題材の卑近さが芸術を冒涜していると叫んだ。クールベ自身がこの絵につけた「オルナンの埋葬に関する歴史画」というタイトルが、従来の歴史画の常識を覆したからである。それまで歴史画というのは、歴史上の有名な事件をドラマチックに再現していた。ところがこの絵は、田舎の葬式を描いたに過ぎなかったのである。

ともあれ、この作品によってクールベは一躍有名人になった。巨大な画面が人々の度肝を抜いたこともあり、クールベは非凡な画家としての名声を確立したのだ。

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これは、墓穴の周辺部分を拡大したもの。穴が思いのほか小さく見えるのは、縦長の穴の先端をこちら側から見ている構図のためだろう。その墓穴の周囲に司祭や親族、そして墓穴掘りがそれぞれ自分に割り当てられた任務を果たしている。これが果たして歴史画といえるのだとしたら、それは後世の視点に立ってのことだろう。こんな日常の一齣でも、歴史の一部であることは間違いない。

(1849年 カンバスに油彩 314×663cm パリ、オルセー美術館)





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