心遊仙境図:富岡鉄斎

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富岡鉄斎は、大正十一年(1922)に小五位に叙せられた。その叙位の喜びを表現したのが「心遊仙境図」である。その喜びの心境を、鉄斎は賛に込めている。曰く、「自分は長寿を願って精神を養ってきたが、すでに八十七歳まで生きることができた。鏡に顔を映してみると、痩せた鶴のようである。こんな鶴の鳴き声が宮中まで達したとは思いがけないことだ」。ちなみにこの文章は、詩経小雅鶴鳴を参考にしている。

上段は海上に聳える仙境の山。その手前の小さな陸地に、庭の鶴がとまっている。その鶴を自分に見立て、仙境の中ほどに見える楼閣を皇居に見立てているわけであろう。木炭を有効に使い、それに墨と淡彩で変化をつけている。

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これは庭の鶴を拡大したもの。左側の鶴が、皇居に向って泣き声を上げている。その声が宮中に届いて、叙位につながったというわけであろう。

(1922年 紙本淡彩 131・9×33.7cm 宝塚市、清荒神清澄寺)





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