裁かるるジャンヌ:ジャンヌ:ダルクの殉教を描く

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1928年公開のフランスのサイレント映画「裁かるるジャンヌ(La Passion de Jeanne d'Arc )」は、原題にあるとおり、フランスに生まれた聖女ジャンヌ・ダルクの殉教をテーマにした作品。サイレント映画の傑作として、日本でも話題となり、自然主義作家徳田秋声も、絶筆となった小説「縮図」の中で、ヒロインの銀子がこの映画をみて感動した様子を子細に語ったほどである。

ジャンヌ・ダルクは、フランスはもとよりカトリック圏の諸国では聖女として大きな敬愛の対象となっている。だがイギリスでは人気がなく、あのシェイクスピアさえも、ジャンヌのことを「ホアー(淫売)」と呼び捨てているほどである。それは裏返しに見れば、ジャンヌがフランスのために大きな働きをし、そのフランスに敵対したイギリス軍がジャンのために苦汁を飲まされたことを物語っている。

映画は、そのフランスの生み育てた聖女を、イングランドからやってきたアングロサクソンの鼠どもが裁く様子を描いている。この裁判自体は、フランス人も下働きをしたにかかわらず、全く正統性のないことが、当時から明かになっており、不条理極まりないものであった。その不条理極まりない裁判をつうじて、ジャンヌを責めさいなみ、ときには拷問を加えつつ、思うような結果を得られないアングロサクソンの鼠どもが、この尊い聖女を生きたまま火あぶりにしてしまうのである。それを見てサディスティックな笑いを浮かべるアングロサクソンの鼠たちの顔が不気味である。その中には、ボリス・ジョンソンの祖先と思われるような面も見受けられる。

映画は、ジャンヌの表情を大写しにしながら、裁判官とのやりとりとか、拷問の様子とか、最後には火にかけられて焼肉と化していくジャンヌを映し出す。ただひたすら死に向かって歩むジャンヌの殉教者としての潔さを強調する作品である。





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