面談したことを以て同意したとみなす:福島汚染水海洋放出

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岸田政権が、福島の汚染水を24日から海洋放出するよう決定したそうだ。21日に行った漁業関係者との面談で、一定の理解が得られたからというのがその理由だ。日本政府はこれまで、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」と約束してきたので、なんとかして関係者つまり漁業団体の理解を得たいと願ってきたわけだが、21日の面談では、漁業関係者は「反対変わらぬ」と明言しているので、さすがの岸田首相も、十分な理解を得たとは言えなかった。それでも、一定の理解を得たとして、今回の決定に踏み切ったわけだ。漁業関係者としては、なかなか納得できないところだろうが、しかしお上の意向には逆らえず、また、漁業補償を含めた対策の予算措置をちゃんとやってもらいたいと言ったようだから、なんでも反対ということではないらしい。いかにも日本的な決着の付け方である。

福島の汚染水を海洋放出することの可否については、小生は個人的な意見をもってはいるが、いまそれには触れない。ただ、岸田政権の今回のやり方については、それとして大きな疑問を感じる。今回の決定は既定のことであり、漁業者との面談は、そのためのアリバイ作りのようなものだという魂胆が、ミエミエだからである。その魂胆は、原発回帰に前のめりな岸田政権の姿勢に根差しているのだろう。まず原発推進ありきで、そのためにも福島の問題は早々に片付けねばならぬ、という意向が強く働いているのだろう。

岸田政権の支持率は、30パーセント台の低さだと伝えられている。原因はいろいろ指摘されている。マイナをめぐる不祥事とか、物価の高騰に対する無策ぶりとか、自民党議員のだらけきったふるまいとか、いろいろあって、国民の怒りと不信が強まっていることがその直接の理由だと思うが、それに加えて、国民を馬鹿にした政権の姿勢が国民の反発をかっているのではないか。なんら議論もなく軍事予算の倍増をすすめたり、新しい資本主義といいながら、資本家の利益を重視する政策に前のめりになったり、そのやり方は問答無用の強権的なものである。

岸田政権は、特定の外国を名指しして、権威主義国家などと悪口を言っているが、自分のやっている国民無視のやり方こそ権威主義そのものではないのか。今回の決定も、面談したことを以て同意するとみなすというような、独善的で強圧的なやり方であり、まさしく権威主義そのものである。岸田政権は、ひとの悪口を言う前に、自らの襟をただすべきである。





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