犬のいる扉窓:ボナールの室内画

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「犬のいる扉窓(La Porte-fenêtre au chien )」と題されたこの絵も、ル・カネの家の室内の眺めである。室内から扉窓ごしに屋外を臨んだ構図。扉は半開きになっており、その傍らに犬がいる。犬は台のようなものに乗っているが、それが何かは、よくわからない。例によってフォルムが明確でないからだ。

この絵の見どころはやはり、色彩の豊かさだろう。一応寒色系で固めながら、ところところオレンジ系の派手な色を組み合わせることで、微妙なバランスを保っているので、結構おちついた雰囲気が伝わってくる。

手前のテーブルには、食器類がおかれているが、このように絵に生活感を取り入れるのは、この時期のボナールの特徴である。なお、絵の中の扉窓は、日本では「フランス窓」と呼ばれている。観音開きの窓である。

(1927年 カンバスに油彩 107×63㎝ 個人蔵)





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