香港映画「グランド・マスター」 カンフー・アクションと男女の煮え切らぬ愛

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2013年の香港映画「グランド・マスター(一代宗師 王家衛監督)」は、カンフー・アクション映画。カンフーといえば、ブルース・リーが有名になって以来、特殊な中国武術という印象が強いが、どうも中国武術の総称のようである。リーのカンフーは、そのうちの詠春拳という流派に属するらしい。この映画も、詠春拳の使い手が主人公である。

ストーリーとしては、中国全体の武術の総元締めの跡目をめぐる争いを描く。総元締めはもともと北部を根拠地とする八卦掌の宗師であり、それが南部に進出して中国武術全体を取り仕切るようになった。それが引退するについて、後継者争いが生じる。争うのは、仏山を根拠地とする詠春拳の葉門、総元締めの娘若梅、総元締めの弟子馬三。このうち総元締めは葉門を後継者に指名するが、納得しない若梅が葉門に挑んで勝つ。一方、馬三は総元締めを殺害し、自分が八卦掌の跡を継ぐ。

葉門と若梅は互いを意識するようになるが、葉門には妻子がいる。時に日中戦争が激しくなり、仏山も日本軍によって陥落させられる。そんな中で、葉門と若梅は離れ離れのまま過ごす。

国共内戦が終わったあと、葉門は香港に亡命する。若梅もまた香港で診療所を開業する。そこで二人は会い、関係が深まるように見えるが、そうはならない。若梅はやがて死に、葉門も香港で孤立する。若梅は、死ぬ前に父の復讐を果たしたことを葉門に告げる。

アクション映画といいながら、男女の恋愛も描いているわけで、単純なアクション映画ではない。その男女の愛の描き方は、「花様年華」同様、煮え切らぬ関係に終始する。王家衛は、そういう煮え切らぬ男女関係が好きなようだ。

なお、主人公の葉門は実在の武術師で、ブルース・リーの師匠だそうだ。






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