1950 鋼の第七中隊 朝鮮戦争を中国の視点から描く

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2021年の中国映画「1950鋼の第七中隊(長津湖 監督は陳凱歌ほか二名)」は、朝鮮戦争を中国の視点から描いた作品。仁川上陸作戦とともに、朝鮮戦争の帰趨を決した重要な戦い「長津湖の戦い」がテーマ。この戦いは、アメリカによる朝鮮半島制圧に危機感をもった中国側が参戦し、その直後に行われた。この戦いがきっかけで、アメリカは南部に後退、南北朝鮮は38度線を境に分断が本格化する。

中国の参戦は毛沢東の決断によるとされる。毛沢東は、朝鮮半島がアメリカに制圧されれば、中国が直接アメリカの驚異にさらされると思い、参戦したということになっている。この戦争では、中国側は約20万、アメリカ側は約3万3千の戦死者を出している。

中国側は、義勇軍が主体の兵力である。映画ではその義勇軍がアメリカ軍を長津湖で撃退する戦術をとる。かれらは汽車で北朝鮮に入り、途中米機の空襲にあって損害を出しながらも、長津湖の米軍に襲い掛かり退却させる。

中国軍の装備は貧弱で、重武装した米軍の前では、素手で戦車と戦うようなものである。制空権は米軍が握っているので、まともに戦っても勝てない。白兵戦に持ちこんで戦うしかない。白兵戦になれば、数が多いほうが有利だ。中国側は数の威力を発揮して、敵を撃退するわけである。

この映画は、中国側の視点から描かれているので、中国兵は英雄的に描かれる一方、アメリカ兵は要領のよくないバカ者として描かれる。韓国兵はほとんど出てこない。この映画は、韓国では上映されなかったが、それは朝鮮戦争が中国の正義のために戦われたとする映画の思想に、韓国側が反発したからであろう。一方、中国では空前のヒットとなった。

この映画の制作には、中国人民解放軍が全面的に協力したそうだ。そもそも中国共産党結成百周年を記念して企画されたという。全編これ戦闘のシーンの連続で、戦争映画の極め付きといってよい。






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