チェックインを済ませると早速三人で砂に蒸されにいった。砂場は大浴場の隣にあって、目の前には海が広がっている。真っ裸になって、その上に作務衣のようなものをひっかけ、砂の上に横たわる。すると小母さんが待ち構えていて、体の上に砂をかぶせてくれる。砂は結構重い。それ以上に熱い。聞けば温度は43-44度というから、普段家で入っている風呂よりもずっと熱い。だから余り長く蒸されていると、低温火傷をおいかねない。だからせいぜい12-3分くらいにしておいたほうが良い、と忠告された。
しかし筆者には10分ももたなかった。7分くらいたったところで、熱いという思いは限界を越し、汗も大量に出て来た。横子も同じ思いらしく、二人そろって砂から這い出した。今子のほうはもう少し頑張ってみるという。
シャワー室で砂を流した後、温泉に浸かった。ここの温泉は塩化物泉といって、非常に塩辛い。また色も濁っている。昨日の霧島温泉の硫黄の湯より濁っている。見るからに効き目がありそうな湯だ。
今子はだいぶ経ってから出て来た。聞けば24分くらい蒸されていたということだ。火傷の心配はなかったかいと聞くと、その心配はないという。どうやら皮が厚くできているようだ。筆写なら確実に火傷をしただろう。なにしろ7分しか蒸されなかったのに、皮膚の一部が真っ赤になっているのだから。
夕食は大食堂でとった。またもや東坡肉が出て来た。仲居に向かって、これで昨夜から3回目だよというと、これは薩摩の郷土料理ですから、どのホテルでも出てきますという。へえ、これが薩摩の郷土料理とは知らなかった。そういえば、この旅館といい、今までの旅館といい、どこでも料理は肉が主体で、魚はあまり出てこなかったなあ。沖縄も肉が主体と聞くから、薩摩から琉球へかけては、肉の食文化なのかなあ。それにしても、これはどう見ても東坡肉だが、地元では豚の煮ものとして通っているらしい。東坡肉とは別に、薩摩・琉球のユニークな料理なのかなあ。筆者はいろいろ迷ってしまった次第だ。
部屋に戻ってウィスキーを飲んだ後、もう一度大浴場に行った。砂蒸しの方は既に終わっていたが、あの塩辛い湯に浸かることはできた。それに浸かるだけでも、十分赴く甲斐はある。とにかく、いい湯、なのだ。
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