アッティカの黒絵式陶器:ギリシャ美術

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紀元前六世紀の、アルカイック美術の時代に、アッティカ地方を中心にして、黒絵式陶器が盛んに作られた。黒絵というのは、壺の側面に施された図柄のことをいう。輪郭線に囲まれた部分を黒い顔料で塗りつぶし、それが乾かないうちに、鋭い筆で線を描くことで、ネガフィルムのような効果を演出したものだ。

これはヴルチ出土の黒絵式陶器。作者のエクゼキアスは、黒絵の最高の作者として尊重された。この黒絵のテーマは、アキレスとアイアントスである。この二人は、ギリシャ神話で活躍する英雄たちで、同性愛の関係にあった。

二人の身体は黒く塗られ、その内部に鋭い筆で、衣服や目の部分が描かれている。彼らの持っている槍も、黒い顔料で描かれている。全体に、簡略されて力強いフォルムを感じさせる。(紀元前530年ごろ、ヴァティカン美術館蔵)






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