フラ・アンジェリコ:ルネサンス美術

| コメント(0)
rena06.1.FraAngelico_main.jpg

フラ・アンジェリコ(Fra Angelico 1390?-1455)はあだ名であり、本名はグイド・ディ・ピエトロといった。フラは修道士という意味であり、アンジェリコは天使のようなという意味である。この綽名は、ヴァザーリが「美術家列伝」のなかで使って以来普及したもので、生存当時はフラ・ジョヴァンニと呼ばれていた。

修道士であったフラ・アンジェリコは、やはり修道士だったロレンツォ・モナコの宗教的な雰囲気の画風を受け継ぐとともに、ブルネレスキとマサッチオによって開発された遠近感豊かなリアルな画風も身に着けた。その画風は、背景の風景をリアルに描く一方、前景の人物は優雅に描くという特徴を帯びている。

上は「受胎告知」。僧院と思われる建物は、マサッチオの一点透視法を採用して、遠近感豊かに描かれている一方で、マリアと天使は理想化されて描かれている。特に天使は、ピンクの衣装をまとい、五色に彩られた羽を揺らめかしているなど、色彩豊かにかつ装飾的に描かれている。(1442年頃 216×321㎝ フィレンツェ、サン・マルコ修道院)

rena06.2.jpg

これは、「我に触れるな」。聖書のなかの一節からモチーフをとったもの。復活したキリストに、マグダレナのマリアが両手を広げてひざまずいたところ、キリストが「我に触れるな」と言っているシーンである。フラ・アンジェリコの絵の中では、もっとも有名な一点。(1440年頃 180×146㎝ サン・マルコ美術館)

rena06.3.jpg

これは、「聖母戴冠」。フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の依頼で制作され、現在はウフィチ美術館にある。金箔のほかラピスラズリなど、贅沢な顔料が使われている。人物たちの微細な描き方には、ゴシック技法が認められる。(1435年 フィレンツェ、ウフィチ美術館)






コメントする

アーカイブ