芸人は猿回しの猿か

| コメント(0)
日頃率直な物言いで人気を博している北野タケシが、いま話題になっている芸人の闇営業問題で、芸人を抱えている事務所の対応を批判した。タケシの言い分によれば、芸人というものは猿回しの猿のようなもので、その猿が粗相をしたからといって、猿を責めるのは大人げない。責めるなら猿回しのほうと責めろというのだ。タケシが猿回しというのは、芸能事務所のことである。たしかに、今回の問題で、芸能事務所の対応には、頭をかしげるところが多かった。タケシが腹を立てるのももっともだと思う。

今回の闇営業問題の本質は、芸人たちがまともな営業だけでは食っていけないということだった。聞くところによれば、まともな芸で食っていけるのは、芸人のほんの一部で、大部分の芸人はその日暮らしにも事欠く有様だという。中には月収450円などというケースもあるそうだから、芸人が切羽詰まって闇営業に走るのも無理はない。今回はその披露の相手がいわゆる反社会的勢力だったことで大騒ぎになったわけだが、こうした闇営業は、芸人たちを抱える事務所が大目に見過ごしていたということもあったらしい。まともな給料を払うのを避けて、そのかわりに芸人の闇営業を大目に見るという構図だろう。

タケシは、芸人に食えるだけの給料を渡せと言っているが、当然のことだ。芸人といえども、芸能事務所の社員なのだろうから、その社員の生活を保障するのは、雇い主の責任というものだろう。それを放棄して、雇い主面をするのは、片腹いたいことと言わねばなるまい。かつてある後進国では、売春婦に商売をさせて、そのピンハネをするというビジネスモデルが成り立っていたということだが、日本の芸能ビジネスもそれと大した変わりはない。芸能事務所は、芸人に芸をさせて、その売り上げをピンハネするというわけだが、売り上げがなければないで、その先の面倒は見ないというわけだ。

芸人が芸能人扱いされないのは、能がないからだ、とある落語家が言ったことがあるが、どうしてどうして、芸人に能がなければ、人を笑わすことは出来ない。人を笑わすだけの能があるのだから、それ相応に待遇されてもいいだろう。タケシが腹を立てるわけがわかろうというものだ。





コメントする

アーカイブ