松浦屏風:近世初期の風俗画

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松浦屏風は、平戸藩主松浦氏に伝わって来た。作成されたのは、やはり徳川時代初期寛政年間だろうと推測される。左隻に十人、右隻に八人の女性を配し、それぞれにポーズをとらせている。ポーズには、「琴棋書画」図を参考にして、三味線、囲碁盤、硯と筆、カルタなどを組み合わせ、遊びの感覚をあらわしている。また女性たちの衣装は、みな華やかなもので、この当時の女性たちの好みを表現するものになっている。衣装の模様を強調しているところは、後に盛んになる誰が袖屏風への移行を指摘できる。

上は右隻。金地を背景に、それぞれの女性が華麗な色彩の着物をきて、思い思いのポーズをとっている。女性がしめている帯は、みな細い。一方女性たちの髪型は、髷あり、垂れながしありで、多彩である。

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これは左隻。カルタを打つ女、手鏡に見入る女、艶文を書く女など、みな思い思いのポーズをしている。

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これは左隻の右側の部分を拡大したもの。右端の二人の女性が手にとりあっているのは、キセルであろう。座った女性の足元にはタバコの葉を包んだ髪が描かれている。

(紙本金地着色 六曲一双 155.6×361.6㎝ 大和文華館 国宝)





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