千葉県の災害無策は何に由来するか

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今年は台風の当たりシーズンで、巨大台風が繰り返し日本を襲ったが、なかでも千葉県の被害は甚大だった。千葉県はこれまで長い間台風による直接被害を免れてきたのだが、今年は三度も巨大台風に見舞われ、そのたびに大きな被害を受けた。千葉県に育ち、いまもそこに居住する小生としては、知り合いにも被害を受けた人たちがいたりして、他人ごとではなかった。先日は、考妣の法要のために千葉県佐倉市の寺を訪ねたが、その寺も甚大な被害を受けたほか、近隣住民にも避難所に非難した人が多数いたと聞かされた。

それにしても、今回の一連の被災対策については、県の無策ぶりが際立ったと言わざるを得ない。十五号の時の千葉県の対応は、まるで他人事のようであり、千葉県民は無論、日本中から批判を浴びた。特に某知事はひどく、自分の仕事を理解しているのか、疑われるような体たらくに見えた。しかもそうした体たらくぶりは、十九号の場合にも、二十一号の場合にも繰り返された。緊急の災害対応がお粗末なばかりではない。行政が非難勧告を出すべくして出さなかったために命を失った人も出た。そういう地域では、まともなハザード・マップが作られておらず、したがって行政としては無策にならざるを得なかったというのだから、あきれた話である。

なぜ、行政がかかる無策に陥ったのか。かつて役人暮らしをしていた小生としては、思い当たるフシがないわけではない。役人というものは、上や周りの顔色を伺いながら仕事をするという習性をもっている。したがって上が、つまり首長が日頃職員に対して厳しく望めば、職員も姿勢を正して、まじめに働くようになる。逆に首長が阿呆だと、職員は首長を馬鹿にするだけでなく、仕事をさぼろうとするようになる。そういう例を小生は、いやというほど見て来た。その例をあえて取り上げようとは思わないが、役人の本質的な習性として、肝に銘じるべきだと思っている。

今回の千葉県の場合には、知事の日頃の姿勢が、どうも仕事に対して厳しいといったものではなかったのではないか。そういう姿勢が職員にも伝わり、なるべくさぼろうとするような動機を与えたのではないか。だから、災害対策の基本中の基本ともいうべきこと、つまり(有効な)ハザード・マップの作製もさぼってきたのではないか。悲しい限りだが、そう思わざるを得ない。ハザード・マップの件については、国から事情聴取を受けたというくらいだから、よほどひどい事態と受け取ってよい。

行政がまともに動くには、トップの姿勢がきわめて重要な役割を果たす。そのトップに誰をつけるか、それについて選ぶのは、都道府県のような自治体にあっては、有権者たる住民である。住民は、誰に行政をまかせたら自分たちの命を救ってくれるか、よく考えて行動したほうがよい。





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