サン・タドレスのテラス(Terrace à Sainte-Adresse):モネ

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「サン・タドレスのテラス(Terrace à Sainte-Adresse)」は、海辺の自然の中に人物を配したもので、自然と人物との調和をテーマにした一連の作品の一つである。この絵でモネは初めて海景を表現したが、海辺の日光はきわめて強烈なので、モネは光の効果を最大限表現することができた。

画面は実に開放的な印象を与える。その解放感は、空間の広がりと奥行きの深さからもたらされる。その奥行きを利用してモネは、さまざまな船の動きを、遠近感を利用して描き分けた。沖には多くの帆船がのどかに停泊し、水平線のあたりには蒸気船が煙を吐いている。手前には人影を乗せた帆船が画面を横切るようにして走っている。見る者はそれらから、リズミカルな動きを感じさせられる。

手前のテラスには四人の人物が思い思いにたたずみ、あるいは椅子に腰かけ、彼らの頭上には旗が風をとらえてはためいている。そこにも見る者は画面の動きを感じさせられる。

四人の人物はいずれもモネの親戚だそうだ。右手の椅子に腰かけた老人はモネの父親で、その左手の夫人は叔母のルカードル、向かう側で黄色い日傘をさしているのは従妹のジャンヌである。

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これは手前の人物像を拡大したもの、人物にも花にも日光が燦々とふりかかり、そこに深い陰影を醸し出している。

(1867年 カンバスに油彩 98.1×129.9㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館)





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