達磨像:室町時代の水墨画

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達磨は禅宗の開祖であるから、禅僧たちによってその像が描かれてきた。達磨像のポーズにはいろいろのものがあるが、もっとも多いのは、上の絵のような半身像であり、大きな目をぎょろりと向いている姿である。この絵は、こうした構図の達磨像の最も初期のもの。作者は墨渓である。

墨渓は高名な僧一休の弟子で、この絵にも一休の賛がある。それに寛正六年(1465)の年紀が記されている。墨渓はまた、周文から水墨画を学んだらしい。兵部という通称のほか、桃林安栄とも号した。

この絵は、刷毛筆を用いた減筆体で髭を描く一方、衣の輪郭は一筆でざくっと描くなど、禅の雰囲気を感じさせるものがある。(紙本墨画 148.5×58.0㎝ 京都、真珠庵 重文)

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これは、祥啓作の達磨像。祥啓は十五世紀末から十六世紀初めにかけて活躍した禅僧で、鎌倉建長寺の書記役などをつとめた。絵は芸阿弥について学んだ。

この達磨像は、墨渓の達磨像と比べると、表情に禅的な厳しさがうすれて、その分近づきやすい雰囲気を感じさせる。署名に貧楽斎とあるのは、かれの号である。(紙本墨画 93.5×46.0㎝ 京都、南禅寺 重文)

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これは、宮本二天作の達磨像。「芦葉達磨図」と呼ばれている。上の二作とは異なり、立ちあがった全身像である。二天こと宮本武蔵は、この他にも達磨像を残している。(紙本墨画 徳川美術館)






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