プーチンの政治改革案をどう見るか?

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憲法改正を含めたプーチンの政治改革案がさまざまな憶測を呼んでいる。この改革案の骨子は、大統領の三選禁止と大統領の権限の制限だ。これが実現すると、プーチンは今後永久に大統領につけなくなる。現憲法では、大統領は連続して二期以上は出来ないとのみされているので、前回もそうだったように、一旦首相についたうえで、あらためて大統領に復帰するシナリオもありえた。それが出来なくなって、プーチンは今後二度と大統領になれなくなるわけだ。それは何を意味するのか、プーチンなりの立憲意識のなせるところか。それともなにか新たなことを企んでいるのか。

プーチンの意図を疑っている者は、現在大統領の持っている重要な権限を議会に与えることに着目して、プーチンはみずからその議会のリーダーとなることで、政治的な影響力を保持しようと企んでいるのではないかと憶測している。プーチンの与党指導者としての影響力は、大統領をやめたあとでも健在だと思われるので、その影響力を駆使して議会をコントロールし、実質的な国のリーダーとして生き残るつもりではないかと推測するわけである。

世間を騒がせたのは、プーチンの政治改革案だけではない。それと連動するような形で、メドヴェージフが内閣総辞職を決行したことだ。世間では、現憲法を前提するかぎり、プーチンからメドヴェージェフへの移譲がなされるのではないかとの憶測が流れていたが、それがどうもなくなったようなのだ。これがメドヴェージェフ本人の意思によるものなのか、それともプーチンに強制されたものなのか、そのことも憶測を呼んでいる。プーチンの強制をあげる意見は、憲法改正がメドヴェージェフの大統領としての権能を著しく制約することになることに着目している。現行憲法では、メドヴェージェフは二期十二年大統領をやれる可能性を認めている。それが改正されれば、メドヴェージェフは一期六年しかできない勘定になる。それをメドヴェージフが甘受したうえで、自発的に辞任することは考えにくいというわけである。

ともあれこの改正案は、まだ漠然としたもので、詰めるべき点が多い。だがその詰めの作業を、議会なりを巻き込んだ形でオープンに実施しようとする動きはない。あくまでもプーチンが自分の頭の中で構想し、それを自分の力を背景に無理押しするというような構図になっている。ロシアという国は、プーチンにとってのおもちゃのようなものらしい。





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