草束を持つ少女:ルノワールの世界

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「草束を持つ少女(Petite fille à la gerbe)」と題した1888年のこの作品も、ルノワールの晩年の最初を飾るものだ。田園地帯の中で、刈り取った草の束を抱える幼い少女を描いたこの絵は、あふれるような色彩感を売り物にしている。

輪郭は、線によってではなく、明暗対比によって丁寧に表現されている。首のまわりの髪の毛の色を思い切り暗くしたり、腕のまわりを黒っぽく表現する一方、髪の毛のオレンジ色に補色のグリーンを対比させるやり方だ。

モチーフである少女は、暖色で決めている。リボンの色は赤だし、上着の模様も暖かい色で施してある。一方背景の方は、田園らしく、グリーンを基調にした寒色である。黄色も、寒色系のレモン系統の色を選んでいる。

モデルの少女は、妻の実家があるエッソワに住んでいる普通の少女なのだろう。丸顔にまん丸い目が幼さを感じさせる。

(1888年 カンバスに油彩 61.8×54㎝ ブラジル、サンパウロ美術館)






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美を読むに よせて
 本日午後からは雪模様になりましたが、3回目の投稿です。
洋画美術関係のブログは、この美を読む分類は映画批評件数に続く731件にもなっていますが、最近のルノアールがなぜか姉妹サイトの美術批評にはUPされていませんね。
また日本の美術分類ではすでに750件ありますので合わせて今後も時々個別に投稿したいと思います。私はNHKの日曜美術館やテレビ東京の美の巨人たちはよく録画していますが、散人さんの美術批評はある意味、市販の解説書以上に価値があります。

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