郭子儀図襖:丸山応挙

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兵庫県の香住町にある大乗寺に、応挙とその一門が計百六十五面の襖絵を描いた。そのうち応挙は八面を担当した。図柄の郭子儀は、唐の玄宗皇帝に仕えた武将で、人格円満、子孫も反映したので、おめでたさを象徴する人物として、好んで画題に選ばれた。

八面の襖絵は、左右四面づつに分かれていて、左側には、郭子儀とその子供たちが描かれている。郭子儀が見つめる先には一人の子どもが芭蕉の葉になにやら絵を描いているが、この子どもは、どの角度から見ても、見る人のほうを向くという、いわゆる八方にらみの効果を果たしている。

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これは、右側の部分で、五人の子どもたちが思い思いに遊びにふけっているさまを描いている。一番右手の、他の子どもにおぶさっている小さな子どもは蝶を追いかけているが、この蝶は、画面の右側からいましも飛んできたように見る者に思わせる。というのも、この襖は庭に連続していて、その庭から蝶が舞い込んできたように見えるからである。

このように応挙は、絵をそれをとりまく周囲との関係において描こうとする姿勢をもっていあt。

(天明七年<1787> 紙本金地着色 襖八面 各186×115.5cm 重文)






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