
「眠る女 La dormeuse」と題したこの絵は、ソファによたれかかって転寝をしている若い女性を描いている。ルノワールの絵の中の女性は、あまり露骨な官能を感じさせないのだが、この絵の中の若い女は、例外的に官能を感じさせる。
それはおそらく女性の示している無防備な姿態のせいだろう。腰のあたりに布をかぶせているとはいえ、身体を大きく開き、いつでも男性を受け入れるような態勢をとっている。そこにエロティックな雰囲気を感じてしまうようである。
全体に暖色で統一されている、そのため、画面は実に暖かく感じられる。それでいて女性が立体的に浮かび上がって見えるのは、陰影を効果的に配置しているためだ。
(1897年 カンバスに油彩 81×55.5㎝ 個人コレクション)
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