村上RADIOを聞く

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村上春樹が二か月おきにFM東京でやっているディスクジョッキーを、小生はまだ一度しか聞いていないが、このたび特別編をやるというので聞いてみた。その特別編というのは、約二時間枠のもので、村上がこれをやる気になったのは、コロナ騒ぎでなんでも自粛を強いられている人々の無聊を慰めたいと、かれなりに社会奉仕精神を発揮したものらしい。

曲はキャーロル・キングの「ユーガッタフレンド(お友達になってあげる)」から始まった。キャロルが歌手としてデビューする前の、自分で作った曲のデモンストレーション用に作ったという、当然非売品のテープだ。なかなかよく歌えている。次いで、エラ・フィッツジェラルドの「虹の彼方に」とかルイ・アームストロングの「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」とかが続く。「虹の彼方に」は、フレッド・ローリーによる口笛バージョンの披露もあった。これらは皆村上の手持ちのものだという。だいたいこの夜は、スタジオではなく、村上自身の書斎から中継しているというのである。

二時間近くかけて、さまざまな音楽が披露された。その合間に村上のおしゃべりがはさまる。人を飽きさせない、ユーモアにとんだおしゃべりだ。さすが世界的な大作家とあって、なかなか薀蓄に富んでいる。とはいっても、へんな気取りはない。近所のおっさんのような気軽さがある。

気軽さといえば、村上はジャズ喫茶を経営していたりして、ジャズが大好きだそうだが、此の夜披露した曲は、黒人のハードなジャズではなく、軽いノリのポップで気軽な音楽が大部分だった。ポップついでに、ジョージ・ハリソンとかポール・マッカートニーの歌も紹介していた。村上は、ビートルズにはまともに相手にしてもらえなかったようだが、それでもビートルズが好きでたまらないらしい。団塊の世代の連中は皆そんなものだ。

ところで、今回のコロナ騒ぎを、政治家はじめ多くの連中が戦争に譬えているが、それはよくないと村上はいう。戦争ではなく、人間と疫病との知恵比べと考えたほうが前向きだというのだ。小生も同感である。





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