コロー「パレットをもつ自画像」:バルビゾン派の画家たち

| コメント(0)
1corot35.jpg

コローは、1834年に二度目のイタリア旅行をした。その際には、各地の美術館を訪ねて、精力的に美術作品を見て回ったようだ。フィレンツェのウフィチ美術館にも足しげく通ったことだろう。特別の友好関係を築いたようだ。それは、コローの晩年に、自画像を寄贈してくれるよう館側から依頼があったことに現われている。


「パレットをもつ自画像(Autoportrait à la palette)」は、その依頼に応えて贈られたもの。コローはこの自画像を、イタリアから帰ったばかりの1835年に作成した。小品であるが、作家の雰囲気をよく捉えている。

それまで、自画像といえば、フランドル風の凝ったものが主流だった。暗い背景から劇的に浮かび上がってくるように工夫されたものが多く、レンブラントのバロック風の自画像がその頂点をなしていた。

コローのこの自画像は、そうした従来の伝統からかなり自由なところを感じさせる。筆使いはかなりのラフさを感じさせるが、そこがかえってダイナミックな印象につながっている。こうしたラフな人物の描き方は、マネが模倣するようになる要素だ。

(1835年 カンバスに油彩 34・0×24.0cm フィレンツェ、ウフィチ美術館)






コメントする

アーカイブ