
1851年のサロンに、コローは「バッカス祭」と題した作品を発表。これは後に「朝、ニンフの踊り(Une matinée : la danse des nymphes)」と改題され、国家に買い上げされた。そのことがきっかけで、コローは大画家としての名声を確立する。
この絵は、コローの画風に転換をもたらした。それまでは、オランダやイギリスの風景画を手本にして、リアルな描き方をしていたのだったが、この作品は神話的な主題もあって、かなり叙情的な雰囲気をたたえている。そんなことから、叙情的風景画と呼ばれる。神話を主題に取り入れたものとしては、すでに「少年と山羊」のような作品もあったわけだが、ここではその神話的なイメージを前面に出したわけである。
色彩的にも著しい変化があった。ハイライトの部分が光り輝いて見えることや、背景が銀色に見えることから、その銀色をコロー色と称された。1950年代のコローの作品は、そうしたコロー色の叙情的な風景画が占めることになる。大衆的な名声はいよいよ高まったが、コローの独創性はやや薄まったと評価されている。
ともあれ、コローのこうした色彩感覚は印象派の画家たちに大きな影響を与えたといえる。
(1950年 カンバスに油彩 98×131cm パリ、オルセー美術館)
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