ミレー「種まく人」:バルビゾン派の画家たち

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ミレーは1850年のサロンに「種まく人(Le Semeur)」を出展した。大きな反響を呼び、賛否両論が入り乱れた。プラスに評価する人は、民衆の生活を芸術のテーマとしたことを称え、マイナスに評価する人は、野卑だとか俗物的だとかいって非難した。どちらも立場にたっていても、この作品が絵画の歴史に一時代を画することを認めざるをえなかった。こんなふうにあけすけに、庶民の暮らしぶりに焦点を当てた作品は、ミレー以前にはなかったといってよいからだ。

この作品は二つのバージョンがある。山梨県立美術館のものと、ボストン美術館のものだ。上は山梨県立美術館のもので、岩波書店のロゴは、この絵をもとにしている。

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こちらは、ボストン美術館のもの。サロンに出展されたのは、おそらくこちらの方だろうと言われている。山梨のものと比べると、色彩が明るく見えるが、絵の具の退色の影響があるかもしれない。

(1850年 カンバスに油彩 101.6×82.6cm ボストン美術館)





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