タリバン化するアメリカ

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米テキサス州議会が、堕胎を実質的に違法化する法律を制定したことについて、連邦最高裁が合憲の判断をした。同じような動きは南部を中心とした各州にもあるので、今後全米的な規模で、堕胎の非合法化が進む可能性が強い。

こんなことになっているのは、トランプの遺産のためだ。トランプの時に最高裁の判事の保守化が進み、いまや九人中六人がかなり右寄りの保守思想の持ち主だ。その連中が、キリスト教道徳を振りかざしながら、社会の保守化に舵をきっている。その有様を見るに、アメリカにはいまやキリスト教原理主義の嵐が吹き始めたようである。

原理主義的な宗教意識は、イスラム教もキリスト教も変わらぬらしく、アメリカのキリスト教原理主義は、タリバンと異なることのない考えに染まっているようである。自由の価値が尊重されるべきこの世界において、女性の人権そのものを否定する動きは、タリバンによる女性の抑圧と全く異なることがないというべきだろう。

アメリカ社会は、数十年ごとにキリスト教原理主義が勢いをつけてきたが、トランプの登場は、そうした勢いが顕在化したことを物語っていた。そうした動きはトランプが去っても収まらず、むしろ自由の抑圧は強化されている。有色人種の投票権を妨害する動きも各州で見られるが、それも同じような風潮を反映したものといえよう。

そうした動きを推進しているのは共和党である。共和党はいまや、キリスト教原理主義者たちが牛耳るところとなっており、そうした点では、アメリカ版タリバンといってよい。そのタリバン化した共和党がアメリカをかき回しているわけで、そこから見えてくるのは、アメリカ全体のタリバン化である。そのタリバン化の流れにバイデンも乗っているように見える。もし民主党までが、自由の抑圧者にまわることになれば、アメリカは救い難きディストピアになるだろう。

※テクサス州の法律は、妊娠六週間以後の堕胎を禁じるという内容だが、その時点では妊婦でさえ妊娠に気が付かないことから、実質的に堕胎を禁止することになる





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