天窟神楽図:富岡鉄斎の世界

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富岡鉄斎は、明治二十六年(1893)に京都市美術学校教員となり、翌年には京都市展覧会絵画部審査部長となった。その年に描いた「天窟神楽図」は、大和絵風の作品である。大津市にある戸隠神社のために描いた。戸隠神社は、天岩戸神話で活躍するアメノタジカラオノミコトを祭神とする。

岩の前に鳥居を立て、その周囲に神々が集まって神楽を演じている。鳥居の向こうの舞台ではアメノウズメが神楽を踊り、アメノタジカラオノミコトが岩の扉を開けようとしている。またアメノウズメの隣でなにやらささげ持っているのはフトダマであろう。

扉を岩ではなく、木にしたところがミソ。アマテラスはまだ姿を見せてはいない。ウズメの衣装やかがり火の赤と、木木の緑のコントラストが鮮やかである。

(1894年 絹本着色 131.8×50.5cm 大津市、戸隠神社)





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