第22回アンデパンダン展への参加を芸術家に呼びかける自由の女神:アンリ・ルソーの世界

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「第22回アンデパンダン展への参加を芸術家に呼びかける自由の女神(La Liberté invitant les artistes à prendre part à la 22e exposition des Indépendants)」は、タイトルどおり1906年の第22回アンデパンダン展の宣伝ポスターのような意味合いで描いた作品。ルソーがなぜこんなものを制作したのか、正確なところはわからないが、アンデパンダン展はルソーにとってほとんど唯一の作品発表の場であり、その名声があがることは、自分にとっても都合のよいことだったので、あえてそれを宣伝して見せる気になったものと見える。

画面上部には、大きな羽をはばたかせながら空中に浮かんだ自由の女神が、ラッパを吹き鳴らして、芸術家たちにアンデパンダン展への参加を呼び掛けている。画面下部には、その呼びかけに答えて大勢の画家たちがキャンバスを抱えてアンデパンダン展の会場を目指している。会場の入り口付近にはどういうわけかスフィンクスらしいものが陣取り、芸術家たちに謎をかけているような雰囲気である。スフィンクスの足元には大きな白布が敷かれ、その白布には、ピサロ、スーラ、シニャックといったアンデパンダン展の組織者の名が記されている。

最前列にいる二人の人物は、背の高い方がアンデパンダン展会長ヴァルトン、背の低い方は芸術家代表アンリ・ルソーである。全体に明るい画面は、アンデパンダン展の開放性を演出しているのだろう。

なお、この前年の1905年に、ルソーは二度引っ越しをしている。二度目に引っ越したペレル街の住居は、かれの終の棲家となった。

(1906年 カンバスに油彩 175×118㎝ 東京国立近代美術館)





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