ウクライナ侵攻はプーチン個人の犯罪か:吠えるバイデン

| コメント(0)
ロシア軍によるウクライナへの侵攻に怒り心頭のバイデンが、プーチンを戦争犯罪人の人殺しと呼び、この惨事にかかわる責任はプーチン個人が負うべきだと主張した。バイデンはこういうことで、プーチンが打倒されない限りこの問題の解決はありえないと言っているわけである。その一方、アメリカは軍事介入する意思はないという。NATOもそれに右へならえしているから、プーチンが外国の力によって打倒されることはない。もしかしてプーチンを打倒するものがあるとして、それはほかならぬロシア国民以外にはないだろう。つまりロシア国民が自国の大統領を権力の座から追わない限り、この問題の解決はないということだ。

バイデンはどうやら、怒りのあまり逆上して、この問題を外交を通じて解決する道を自ら閉ざしてしまったようである。ということは、ウクライナには気の毒だが、あとは成り行きにまかせるほかないと認めたということだろう。経済制裁その他のロシア封じ込め以外、手はないという状態だ。もしかしてバイデンは、ソ連の解体と同じようなことが、再び起きることを期待しているのかもしれない。ソ連はあっけなく解体してしまったが、その原因を作ったのはアフガンへの軍事介入が失敗したことだった。それと同じことが、今回も起こる可能性がある。ウクライナ侵攻の失敗により、プーチンの権威が落ちるばかりかロシア国民の生活が苦しくなれば、ロシア国民がプーチンを引きずり降ろそうと考えるかもしれない。だが、そううまく行くとは限らない。ソ連解体の際には、ソ連の最高指導者ゴルバチョフがそれを事実上黙認するような態度をとったわけだし、また、共産党の巻き返しの動きにはエリツィンのようなカリスマ性のある指導者が現れてそれを阻止した。しかし、そういうカギとなる人物は、いまのロシアには見当たらない。プーチンの宿敵を自認するナヴァーリヌイにはカリスマ性が欠けていると言わざるを得ない。

こういう状況を前提にすると、プーチンは今後長らく権力の座にとどまると考えざるを得ない。そのプーチンとバイデンとの間で、一切外交交渉の道が途絶えるとしたら、どういうことになるか。おそらく世界は、アメリカ及びそれに従う西側諸国と、プーチンのロシアとの間で二極的に分裂することになるのだろう。新たな冷戦というか、ブロック化の体制が出来上がるわけだ。

バイデンはこの二極化の動きを前にして、中国にはロシアに味方するなと言っている。バイデンはトランプ路線を引き継いで、対中人種戦争を仕掛けた手前、中国に向かって融和的には振る舞えない。そこで、もしロシアに味方したらひどい目に合わせるぞと、力んで見せるほかはない。そうなると、正常な外交関係ではなく、力まかせの恫喝である。恫喝で自分の言い分が通ればよいが、世の中はそんなに甘くはない。中国は中国で、バイデンの恫喝には冷静に対応し、自国の国益を守ろうとするだろう。

こういう状態の中で、日本としてどう振る舞えばよいか。日本は対米従属の上に成り立っているわけだから、アメリカの意向には逆らえない。だが、言いなりになるわけにもいかない。そこで岸田政権は、表向きはバイデンの言うことをきき、対ロ制裁をするふりをしながら、経済的な実利はなるだけ守ろうとしているように見える。ここは、バイデンに煽られて馬鹿なことをせずに、悧巧に振る舞ってほしいものである。

とにかく、いまのバイデンは吠えまくるばかりで、とても冷静とは言えない。それでは、大国の指導者として、責任ある役割は果たせないだろう。





コメントする

アーカイブ