クロメジージュのヤン・ミリーチ:ミュシャのスラブ叙事詩

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(クロメジージュのヤン・ミリーチ)

ヤン・ミリーチは14世紀の神学者で、チェコの聖人。ヤン・フスの先駆者といわれる。私財をなげうって貧民の救済につとめた。それに感激した娼婦たちが、売春宿を修道院に回収して、自分たちの罪を悔い改めたという。


これは、修道院の建設工事を描いたもの。画面右手中ほどの黒衣の層がヤン・ミリーチ。かれの周囲には大勢の娼婦たちが集まって、感謝の念をささげている。

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これは、画面左手前の女性を拡大したもの。なんとも形容のしがたい表情だ。己が罪におののいているのか。

(1916年 カンバスにテンペラ 610×405㎝ プラハ、ヴェルトィジニー宮殿)

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(グリュンワルトの戦闘の後)

グリュンワルドは、ゲルマンとスラヴの接点にあたる土地柄で、両者にとって価値の高い土地だった。ゲルマンにとっては東進の拠点となり、スラヴにとっては防衛の拠点となった。ここで1419年、チェコとポーランドの連合軍がドイツ軍と戦い勝利した。

絵は戦いそのものではなく、戦後の荒涼たる様子を描く。画面中央に立っているのがポーランド王ウラヂスラウ。その周辺に、戦いで死んだ戦士たちの遺体が散らばり、陰惨な印象を与えている。

(1924年 カンバスにテンペラ 405×610㎝ プラハ、ヴェルトゥジニー宮殿)






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