ゴルバチョフは自由の戦士か? 国を潰した阿呆か?

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かつてエリツィンとともにロシア現代史を彩った男ゴルバチョフが死んだ。エリツィンが死んだとき、小生は一文を草してその死を惜しんだことがあったが、ゴルバチョフに対しては、そんな気にはなれない。エリツィンには人に愛される能があった。ゴルバチョフにはそれがない、ということでもない。だが何といってもゴルバチョフは、ロシア史に巨大な足跡を残した男だ。何らかの形で言及せねばなるまい。

ゴルバチョフは、西側諸国とロシア国内では、かなり評価がわかれる。西側はかれを、冷戦終結の立役者だとか、軍縮に道を開いたとかいって、肯定的に評価するムキが強い。かれを自由の戦士と言って称えるものもある。一方ロシア国内では、否定的な評価もある。むしろその方が主流だといってよい。その理由は、ゴルバチョフがソ連を解体し、そのことで祖国を弱体化させ、西側に屈従する道を開いたというものだ。そういう人たちにとってゴルバチョフは、国を潰した阿呆ということになる。

西側諸国がゴルバチョフを自由の戦士と言ってもちあげるのは、西側が好きな「普遍的価値」によるものだろう。西側の言う普遍的価値とは、西側諸国の社会システムをオブラートに包んで合理化するものだ。一方、ロシア人がゴルバチョフを否定的に評価するのは、ナショナリズムの感情によるものだろう。

かつて日本にも、自分の所属する政党をぶっ潰すといいながら、国の形を危うくした政治家がいたが、ゴルバチョフの場合には、自分の所属する政党である共産党もろともに、ソ連という国をぶっ潰したわけだ。そういう点では、日本の政治家とは比較にならぬスケールの政治家とはいえるだろう。





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