日本の現代建築家を論評する

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四方山話の会の全体会を久しぶりに開催した。昨年十月以来だから半年ぶりのことである。場所は例によって新橋の鳥料理屋古今亭。集まったメンバーは小生のほか、浦、赤、小、神、石、岩、梶、福の合わせて九名である。

今回は、前回新たに加わった神子から講演があるそうだ。題目はかれのボランティア体験について。かれは正式の都市案内ボランティアの資格をとって、外国人に東京の建築物を案内しているのだそうだ。本業の合間を縫って、時間のゆとりがある時に、自分の気晴らしもかねて東京の建築案内をしているということらしい。

B4版の見取り図のようなもの一枚と、A4判の史料数枚を閉じこんだパンフレットのようなものを配った。それをもとに、東京にある現代建築を詳細に語ろうというわけである。神子がいうには、外国人が一番行きたがるのは築地の場外市場だそうだ。そこで築地に連れていったついでに、本願寺のユニークな建物に案内し、本願寺が体現している日本の宗教の特徴について話すのだそうだ。神子は日本の宗教を欧米の一神教と比較し、欧米の宗教はリリジョンであるが、日本の宗教はビリーフだと言って説明するのだという。リリジョンは唯一神への信仰だが、ビリーフは八百万の神と仲良くすることだ説明すると、たいていの外国人は納得するのだそうだ。

本願寺を案内した後は、銀座通りを歩みながら、近年あいついで建てられた現代建築の華というべき建築物を解説して歩くという。小生も東京の建築物には深い関心をもっていて、かつてはそれらを訪ね歩いたものだったが、小生の場合には、「東京を描く市民の会」の皆さんと、いわゆる建築遺産なるものへの関心を共有している。神子とは関心を向ける対象が微妙に違うわけである。

神子はつづけて、パンフレットをめくりながら、表参道沿いに立ち並ぶ現代建築の代表的なものについて解説してくれた。表参道はいまや、現代建築の見本市というべき壮観を呈しているのだそうだ。かれが特に推奨するのは、CDI青山事務所のアイスバーグ、安藤忠雄の表参道ヒルズ、MVRDVのGyre、妹島和世のガラスとアクリルカーテン、青木淳のルイ・ヴィトンビル、伊藤豊雄の柱のない建物、光井純のAPPLE2014、山下和正のFrom First、表参道からちょっと外れた隈研吾の根津美術館なのだ。

神子自身は、神宮にある丹下健三の代々木競技場が気に入っていて、これは神宮の森とセットで世界遺産に登録されるはずだというので、それはほぼ決まりなのかねと聞いたところ、いや、自分でそう思っているだけだとの答え。丹下健三を高く評価する一方で、隈研吾には厳しい批評を加える。建築界の大御所磯崎新が隈のことをクソミソに言っているという話まで引き合いに出す。そこで隈と親しい間柄にあるらしい浦子が異議を唱えたのだったが、隈の調子のよいところは世間に知れ渡っているので、なかなか有効な援護はできなかった。

神子の講演が終わったあとは、例によって雑談に華を咲かす。今晩は人数が多いこともあって、話の輪が分裂し、一つにまとまらない。石子にまとめる努力をせいといったら、集団が大きくなれば一つにまとめるのはむつかしい、と返される。そこで、小生から向かって右側のグループと、左側のグループへと分裂した状態になり、小生はその双方に時たま首を突っ込むということになった。右側のグループは、学生時代のことが話題となり、とりわけ女子学生の噂話に熱を上げていた。当時奥手だった小生は、この連中が異性に対して異様な関心を払っていたことに、あらためて感心したのだった。

左側のグループは、時事論的な話題に興じていたが、どんな話をしていたのか、詳しくは掌握できなかった。ただ今宵は、いつも寡黙な福子が、饒舌だったように見えた。神子はその福子の学生時代のファッションに感心して、真似をしていたそうだ。それはブルーのジーンズに白いシャツといういでたちだったというが、小生にはそんな記憶はない。

赤子が島子の近況について報告する。島子は新たにもう一冊本を書いて自費出版したそうだ。ついては、読んでも読まなくてもよいから、それを是非買ってほしい。自分に注文してくれれば即発送するし、ネット通販を通じて買うこともできる。一人でも多くの人に買ってもらいたいのだそうだ。

今晩は四合入りの芋焼酎三本を九人で飲んだ。全体としてはたいした量ではないが、小生はいささか飲みすぎたと思しく、やや酩酊ぎみになった。散会後浦子いきつけのバーで飲みなおそうということになったが、小生は翌日昼の宴会を控えているので失敬することとした次第。

四方山話に興じる男たち https://hix05.com/yomoyama/yomo.index.html





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