テンプル・バーでランプを焼く:「ヒューディブラス」へのホガースの挿絵

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サミュエル・バトラーの著作「ヒューディブラス」へのホガースの挿絵第十一点目は「テンプル・バーでランプを焼く( Burning Ye Rumps at Temple Bar)」と題する。テーマは、1659年におけるランプ議会の解体である。ランプ議会は、ピューリタン勢力の牙城であったので、それが解体されることは、ピューリタン革命の終焉を意味した。じっさいこの事件をてこにして、王政復帰への道が開かれるのである。

絵は、テンプル・バー前の広場で牛の尻肉を焼く人々を描いている。牛の尻肉を焼くのは、ランプ(尻)議会を消滅させることの比喩的表現である。面白いのは、ヒューディブラスと思われる人物が馬に乗せられ、広場に引き立てられていることだ。かれもまた、ピューリタン派として保守的な民衆の怒りをかい、尻を焼かれる運命に見舞われたのだ。中景には、バルコニーに設けられた処刑台につるされた男がぶら下がっている。この男はおそらくランプ議会の議員なのであろう。

テンプル・バーは、シティ・オヴ・ロンドンの西の入口となる場所で、ここを通って儀式の行列がたびたび催されたというから、ロンドン庶民にとっては、祝祭的な雰囲気に満ちた場所だった。その場所で、ピューリタン革命の終焉を告げる象徴的な儀式(ランプを焼く儀式)が行われたというわけである。





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