バイデンの言うイスラエルの自衛権とは何か 植民地主義の理屈

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イスラエルのユダヤ人とガザのパレスチナ人の対立激化に対して、バイデンは一貫してイスラエルを支持してきた。その理由は、イスラエルには自衛権があるというものだ。バイデンによれば、ガザを実効支配するハマスはテロリストであり、イスラエルにはそのテロリストから自国を防衛する権利がある。だから、イスラエルのユダヤ人がガザのパレスチナ人を殺すことは問題ないという見地に立っているようである。

そのバイデンの支持に応えるように、イスラエルのユダヤ人は、ガザのパレスチナ人に対して、一方的な攻撃を行っている。それは皆殺しを目指したものといってよいほど残虐なものである。それをバイデンは非難するわけではない。バイデンも戦闘の停止をイスラエルに呼びかけることはあるが、それは、当地にいるアメリカ人が安全に非難するための時間かせぎということであって、イスラエルのユダヤ人がガザのパレスチナ人を殺し続けることについては、非難はしていない。イスラエルには自衛権があり、パレスチナ人を、女子供問わず殺し続けることは、その自衛権の発動だと割り切っているようである。

もし、バイデンのような見解が、そのまままかり通るとしたら、この地球社会には正義も人道も意味もなさず、ただただ力の強い者が力の弱いものに暴力をふるうことが常態化してしまうだろう。それは、もはや正当性を失ったとされてきた植民地主義が、まだまだ命脈を保っているということを意味する。植民地主義とは、力の強い者が力の弱い者を支配することを正当化する理屈である。イスラエルがパレスチナ人に対してこれまで行ってきたことは、まさに力の弱い者を暴力の恐怖によって支配するというものであったから、イスラエル国家は植民地主義国家といってよい。大体イスラエル国家の建国自体が、植民地主義的な発想から行われたものなのである。

バイデンは、イスラエル国家の残虐な行為を自衛権の名のもとに合理化する一方、ガザのパレスチナ人がイスラエルのユダヤ人政府に抵抗することは、テロリストのレッテルをはって非難してきた。だが、見方を変えれば、パレスチナ人がイスラエル政府を相手に戦っているのは、祖国解放のためのレジスタンスといえる。それをテロリスト呼ばわりして、イスラエルの暴力を支持するのは、まさに植民地主義そのものと言ってよい。バイデンは、生き残りの植民地主義者というべきである。

先日、イギリスの支配に抵抗して立ち上がったスコットランド人の戦いを描いた映画「ブレイブハート」を見た。この映画は、13世紀に、イギリスの専制的な支配に抵抗して、勇敢に戦いながら、最後は残酷なやりかたで殺されてしまうスコットランド人ウィリアム・ウォーレスを描いたものであるが、そのスコットランド人にパレスチナ人を思い重ね、スコットランド人を支配するイギリスには、パレスチナ人を暴力的に支配するイスラエル国家を思い重ねたものだ。





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