ヒューディブラスと弁護士:「ヒューディブラス」へのホガースの挿絵

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サミュエル・バトラーの著作「ヒューディブラス」へのホガースの挿絵第十二点目は「ヒューディブラスと弁護士(Hudibras and the Lawyer)」と題する。ピューリタン革命騒ぎを通じてさんざんな眼にあわされたヒューディブラスが、弁護士のところへいって、相談しようという場面である。ヒューディブラスは、テンプル・バーでの出来事よりも、例の未亡人をめぐって蒙った侮辱に我慢ならず、かれらを相手に訴訟を起こしたいと思っている。ところが弁護士は、わけのわからぬお世辞をいうばかりで、まともに相手にしようとしない。

原作者のサミュエル・バトラーには、法律家と称する人種への強い侮蔑感情があって、このてあいはみな役立たずだと考えていた。そうした感情がこの絵にもうかがえる。ヒューディブラスがやっきになって訴えているのに、弁護士はどこ吹く風といった表情だ。また、その弁護士の手前で執務する使用人たちも、他人事を見るような表情である。唯一まともなのは、左手前に控えている犬だけで、この犬は、ヒューディブラスに同情しているようである。

結局ヒューディブラスは、勇気凛々として出発したときの勢いはしぼんでしまい、いまや従者からも見放されて、ひとりで自分の運命を呪わねばならない。それは彼がピューリタンとして、革命騒ぎの片棒を担いだ報いであり、ピューリタン派の没落とともに、かれも没落する運命なのだ、という冷めた視点が、この絵からは伝わってくる。






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