モル、ブライデウェル刑務所で麻を打つ:ホガースの版画シリーズ「娼婦の遍歴」

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ホガースの版画シリーズ「娼婦の遍歴(A Harlot's Progress)」第四作目は、「モル、ブライドウェル刑務所で麻を打つ(Moll beats hemp in Bridewell Prison)」と題する。モルは売春で摘発され、刑務所に入れられたのである。イギリスでは売春罪という罪名はないと聞いたことがあるが、売春という行為そのものは、何らかの理由を伴って、取り締まりの対象になったのであろう。

モルは、刑務所の中で懲役に服している。その懲役というのが、ここでは麻を打つ仕事。死刑執行のために用いる縄を麻で作っているのである。モルの左手には獄吏が立っていて、モルの仕事ぶりを指図している。モルの右手には、同じように麻を打つ人々がいる。その中には男もいる。この男は、イカサマ師なのだろう。トランプのカードが足元に散らばっている。そのカードの近くにいる犬は、どうやらこの男の相棒らしい。

右端に二人の女がいる。うち一人は、ブーツを履きながら、獄吏のほうに流し目を贈っている。これ、あたしがもらっておくわ、とでもいっているようである。その右隣の女は、なにかの仕草に夢中になっている。また、モルの背後には別の女が立っているが、これもモルを監視しているのであろうか。

それにしても、モルやその他の囚人たちは、自分の持ち物の衣装を着て、いわゆる囚人服ではない。そうした衣服や靴の類を、獄吏やその係累によってくすね取られることがあると、この絵は思わせる。






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