ニュージーランド映画「乙女の祈り」:少女の同性愛

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1994年のニュージーランド映画「乙女の祈り(Heavenly Creatures ピーター・ジャクソン監督)」は、少女同士の同性愛をテーマにした作品。映画の舞台は1953年頃のニュージーランドの都市部ということになっており、その時代のニュージーランドでは、同性愛は許されなかった。社会には同性愛者を受け入れる余地は全くなく、異常性格あるいは若気の至りの逸脱と思われていた。そんな社会で未成年の少女同士が同性愛に陥ったらどういうことになるか。実の親を含めた社会全体から、異分子として排除されるほかはない。そういった息苦しさを描いた作品である。

主人公は、14歳の少女二人であるから、未熟であって、自分の行動にも責任を持てないところがある。そんな状態で、自分たちの同性愛が、愛する家族からも否定されて、どうしてよいかわからなくなる。しかも、手をこまねいていては、二人は永遠に引き離されてしまうかもしれない。それは親たち、とくに片方の少女の母親に原因がある。そう考えた二人は、その母親をレンガで打擲して殺してしまうのである。

二人は殺人罪に問われ、別々に刑務所に入れられ、仮釈放された後でも、会うことを許されなかった、というような内容である。

二人が幼いだけに、社会からの疎外感を味わされるところに気の滅入るようなところがあるが、映画に描かれた出来事は実際に起きたことだということだ。






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