フランシス・フォード・コッポラ「カンバセーション・盗聴」 盗聴のプロ

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フランシス・フォード・コッポラの1974年の映画「カンバセーション・盗聴(The Conversation)」は、盗聴のプロの生き方と挫折を描いた作品。アメリカには盗聴のプロがいて、結構仕事もあるらしい。なにしろ現職の大統領が、政敵に盗聴を仕掛けるような国柄だ。盗聴は日常的なビジネスになっているということが、この映画からは伝わってくる。

この映画の面白さは、盗聴のプロが、プロの心掛けを逸脱したために自滅するというところだ。盗聴のプロは、己を殺して盗聴に没頭すればよいのであって、盗聴の相手のことを詮索するのは余計なことだ。余計というより危険なことだ。ただひたすら己を殺して盗聴に没頭すればよい。ところがこの映画の中の盗聴のプロは、二つの誤りを犯したために自滅する。一つは仕事にからんで女に惚れたこと、もうひとつは盗聴した相手に個人的な関心を抱いてしまったことだ。そのためかれは、仕事上重要なものを女に盗まれてしまうし、また、盗聴の相手が殺される場面にまきこまれるはめになる。

主人公の盗聴のプロを演じたジーン・ハックマンは、「スケアクロウ」では粗野な大男を演じていたが、この映画の中では、繊細な役柄を演じている。またそんなに大男には見えない。「スケアクロウ」では相棒のアル・パチーノが小柄だったせいで、大男に見えたのかもしれない。

アメリカの映画批評界ではかなり評価が高いということだが、そんなに優れた作品とは思えない。





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