中国映画「戦場のレクイエム」 国共内戦の一こま

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2007年の中国映画「戦場のレクイエム(集結號 馮小剛監督)」は、国共内戦の一こまを描いた作品。併せて朝鮮戦争の一こまにも触れている。戦後国共両勢力は、覇権をめぐって壮絶な戦いを繰り返すが、そのうち華北を舞台に展開された淮海戦役の一こまがテーマである。この戦いは共産党の人民解放軍が勝利し、1950年の中共政権樹立へとつながる重要なものである。その戦いに参戦した一中隊の運命と、その中隊長谷子地の意地を描く。中隊は谷を除き全滅するのだが、正規な記録がないことや遺体が見つからないことを理由に、全員行方不明扱いされる。戦死者には勲章や年金が贈られるが、行方不明は恥だとされる。そこで生き残った谷は、全員が戦死したことを自分が証明し、かれらの名誉を回復したいと願う。その願いは最終的にかなえられ、全員英雄としてたたえられる、というような内容である。

人民解放軍側の視点に立っている。国民党軍は強大な戦力を持ち、それに対して解放軍は、軽武装で戦う、というような描き方である。映画に出てくる中隊は、炭鉱を死守する命令を受ける。ラッパが鳴ったら撤退していいという条件だ。強大な敵を前にして、勝つ見込みはあまりない。戦いは壮絶を窮め、その挙句100人以上いた中隊兵士はすべて戦死する。中でも最後まで生きていた47人は、炭鉱に埋もれたまま戦死の事実さえ証明できない。

谷は、気絶したために国民党の捕虜になる。国民党が退却した後解放軍側に収容され、入院生活を送る。そんな彼は、捕虜になったことを理由に差別待遇される。その時点では、部下たちの名誉を回復するどころではなく、自分の身のあかしを立てるだけで精いっぱいだ。それもあって彼は、朝鮮戦争への従軍を申し出る。朝鮮では次第に仲間の信頼を得る。仲間の一人が地雷を踏んだ時には、命をかけて地雷処理にあたる。そのためひどいけがをする羽目になる。

彼の最期の使命は、仲間たちの戦死を証明し、その名誉を回復することだ。そのため彼は、部下たちが埋められた炭鉱を掘る。そんなかれをみなもてあますが、その執念が実ったのか、仲間たちの戦死を当局が認め、その名誉が回復されるのである。

すさまじい戦闘シーンがこの映画の見所である。それゆえ戦争アクション映画に分類されることが多い。中国では大ヒットしたそうだ。国共内戦も朝鮮戦争も中国人にとってはまだ記憶に色濃く残っているのであろう。





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