鴉鷺図屏風:長谷川等伯

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「鴉鷺図屏風」は、両隻の両端に「自雪舟五代長谷川法眼等伯筆」の署名があることから、等伯晩年の作品とわかる。左隻に五羽の鴉、右隻に十二羽の白鷺をあしらったこの屏風絵は、「松に鴉・柳に白鷺図屏風」と比較すると、やや硬直したところを感じさせる。線描を主体として、表現の仕方も様式的だ。

上は左隻。松の枝には一羽の鴉がとまり、その視線の先に四羽の鴉が舞戯れている。その様子には遊びの感覚が認められ、それなりの面白さを感じさせる。前作の「松に鴉図」が、鴉の親子の情愛を表現していたのに対し、これは鴉の群の友情を感じさせる。

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これは右隻。柳の木の周囲に十二羽の白鷺がいる。飛んでいるのもあれば、枝に止まっているのもある。背景が白っぽいので、白鷺が浮かび上がっては見えない。(紙本墨画金泥引 六曲一双 各154.0×354.0cm 川村記念美術館 重文)






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