
琴棋書画図は、高士のたしなみをテーマにしたもので、古来中国では人気のある画題だった。それを日本人も真似をして、多くの琴棋書画図が作られた。海北友松のこの琴棋書画図は、高士ではなく婦女が楽しむ様子を描いている。その婦人たちの服装は中国風であり、このテーマが中国からの舶来であることを物語っている。
上は左隻。左寄りの第五扇には琴をかつぐ男児が描かれ、左端には将棋盤を乗せた卓が描かれているが、肝心の婦人たちは木陰でやすらったり、庭を散策したりしている。

これは右隻。右端の三人の夫人たちが広げてみているのは書、つまり手紙だろう。その婦人たちの背後に掛軸のようなものが掛けられているが、それを鑑賞するものはいないようである。夫人とは気まぐれなものらしい。
(紙本着色 六曲一双 各154.0×358.6cm 東京国立博物館 重文)
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