トランプのレーシズム

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トランプのレーシズムはいまに始まったことではないが、最近は人種差別的言動が一段とヒートアップしている。先日は、非白人の女性国会議員四人に対して、自分がそこからやってきた国へ帰れと言った。それがあからさまな人種差別だというので、下院が非難決議をしたところ、下院が民主党優位であることを引き合いにして、民主党のペテンだと罵って平然としている。また、自分を批判するメディアに対しては、フェイクニュースだといって取り合わない。

この女性議員のうちひとりはソマリア出身だが、残りの三人はアメリカ生まれだ。ソマリア出身の議員に対しては、ソマリアという国を貶めたうえで、お前はそこの出身なんだから帰れという言い方をしている。そこまで言っては、ヘイトスピーチと見なすべきだろう。

トランプがこういう態度をとることには、彼なりの焦りがあるのだと思う。このまま非白人をアメリカが受け入れていたら、そのうち白人は少数派になってしまう。それは白人至上主義者たちにとっては悪夢だ。トランプも当然そう思っているのだろう。その思いが彼のレーシズムに拍車をかけているようである。

トランプは、移民政策の最新版として、メキシコから来た人が事実上移民認定申請をできないような措置を導入した。トランプがもっとも憎んでいるのは、あのアメリカインディアンを思わせる中南米のインディオ、あるいはヒスパニックと呼ばれる人たちだ。とりあえずこの人たちを、アメリカからシャットアウトする。そういう意図が、トランプの最近の言動からは、明瞭にうかがえる。すでにアメリカに潜り込んでいるヒスパニックについては、なにかと工夫を凝らして、彼らを投票行動から排除しようとしている。

こういうトランプのやり方に対しては、共和党内の良識ある人間もとまどいを隠さない。かれらはロナルド・レーガンの言葉を引用しながら、移民への寛容を訴えている。レーガンは、アメリカは移民の子孫が築き上げた国であり、今後も積極的に移民を受け入れていくべきだ。何故なら、多様な人々が存在することで、アメリカは偉大になれるからだ、と言った。

こんな言葉はトランプには届かないだろう。なにしろ自分の思い込みにとらわれて、他人の言葉が耳に届かないようだから。あのヒトラーでさえ、他人の言葉にはもう少し耳を傾けたということだ。トランプは、ヒトラーも顔負けするほどの、エゴセントリストといわねばなるまい。

とまれこれが、いまのアメリカという国の大統領だ。こういう大統領がありうるなどとは、つい最近まで、当のアメリカはもとより、世界中が思わなかったのではないか。時代は急激に変わりつつある。





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