隅田川水神の森真崎、真崎辺より水神の森内川関谷の里を見る図:広重の名所江戸百景

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(35景 隅田川水神の森真崎)

水神の森は、いまの墨田川神社のことで、もとは浮島神社といった。東京都が整備した白髭東防災拠点の中にある。梅若伝説で有名な木母寺の南側である。浮島神社と呼ばれたわけは、この地が一段と高くなっていて、墨田川が氾濫して洪水になっても、ここだけは水没しなかったからだという。

一方真崎は、水神の森の墨田川を隔てた対岸で、瑞光橋公園があるあたり。周辺一帯は白髭西防災拠点になっている。

この絵は、水神の森の手前から隅田川の対岸を眺めた構図。手前に水神の森に囲まれた浮島神社と、向島堤に植えられた桜の並木が描かれている。対岸にある入り江のようなものは、いま瑞光橋のかかっているあたりだろう。背景にある山は、筑波山をあらわしているとされるが、方向的にありえない。広重は、画面をまとめるために、実際の方向を無視して筑波山を配したと考えられる

前景に桜の花を大きく描くのは、広重一流の誇張法である。

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(36景 真崎辺より水神の森内川関谷の里を見る図)

こちらは、上とは逆に、真崎側から水神の森方面を眺めた構図。しかも仕舞屋の丸窓から覗き見たという具合になっている。

水神の森は、中ほど右側の緑に塗られたところ。その水神の森のあたりで墨田川が大きく湾曲しているように描かれているが、これは現在の実景とは一致しない。隅田川はたびたび川筋を変えたので、広重の時代にはこのような様子を呈していたのかもしれない。

遠景にあるのが、内川、関谷のあたりだろう。その先に筑波山らしい山が見えるが、これも実景とは一致しないようだ。






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