攻撃する自衛隊

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雑誌「世界」の最近号(2020年10月号)が、「攻撃する自衛隊」と銘打って、最近の自民党政権による好戦的な傾向を分析している。その動きの象徴的なものは、イージス・アショアの配置を断念するかわりに、敵基地攻撃能力の獲得を追求しようというものだ。イージス・アショアはもともと、敵からのミサイル攻撃の防御を目的したもので、あくまでも自衛のための措置と言っていたものが、積極的に敵国の領土内の基地を攻撃しようというのは、先制攻撃の要素が強いというべきであり、したがって自衛を逸脱したものと言わざるをえない。

まず、なぜイージス・アショアを断念したのか。いろいろな弁明がなされているが、もっとも決定的なこととして、これがもともと日本の防衛のためではなく、アメリカを防衛するためのお付き合いだという指摘がある。(藤岡淳「海上イージスの命運はなぜ尽きたのか」)その指摘によれば、北朝鮮からハワイへ向けて発射されたミサイルは秋田県新屋演習場の上空を飛び、また、グアム島の米軍基地に向かって発射されたミサイルは山口県むつみ演習場の上空を飛ぶ。それらを事前に打ち落とすことで、日本はアメリカのために働いたことになる。集団的自衛権の最初の本格的な行使になる可能性があったのである。

河野前防衛大臣が、どういう判断でイージス・アショアをやめさせたか、詳しいことはあきらかでないが、以上のような事情も関係していると、この小論はほのめかしている。もともとイージス・アショアは、安倍前総理がトランプのご機嫌取りのために導入したもので、もともとアメリカへのご祝儀の性格が強かったが、それにしてもその実際の運用まで、アメリカを喜ばすように計画されていたとは、開いた口がふさがらない程、ショッキングなことだ。これを売国政策といわずして、何が売国だろう。そういうふざけた計画をやめさせた点では、河野前防衛大乗は褒められてよい。

攻撃する自衛隊という点では、今の日本は、自民党内の好戦派が自衛隊と一体となって、自衛隊の攻撃能力の向上と実際の戦争へ向けての準備に余念ないということらしい。いまのところ、その想定内の敵は北朝鮮となっている。しかし、長期的に見れば、中国が最大の敵として浮かびあがってくるのは、ほぼ間違いない。中国は中国で、日本を最大の敵と位置付けようとする傾向が強いので、日本の中国敵視は、中国の日本敵視を激化させ、やがては全面戦争に発展なんていうことになりかねない。自民党の最右翼には、中国との戦争も辞さずとうそぶく向きもあるらしいが、そういう連中は、自分自身が標的となって、中国の核ミサイルを一身で受け止めるくらいの気概をもってほしいものだ。





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イージス・アショア配備の候補地を報じたのも、それが断念されると報じたのも読売のスクープだったが、断念の報道を、河野前防衛大乗氏は裏の事情は不明だがツイッターでフェイクニュースと言った。気に入らぬアカウントはブロックしまくり、強気の発言をツイートして一部の輩からの人気を得ている河野前防衛大乗氏は、褒められてよい人物ではなくて警戒すべき人物かと思います。ミニトランプのようです。

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