牝犬になった夢の話

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夢の中で犬になった。しかも牝犬である。なんで牝犬かというと、犬になった小生はオスの蛙を激しく恋したのである。オスの蛙に恋をした小生は、しかしうまく行動することができなかった。つまり恋人らしく振舞うことができないのだ。これはどうしたことかと不思議に思ったが、それは男である小生が牝犬になったことにうまく馴染めないからだろうと思った。そこで、同じく男である蛙に自己同一化しようと試みたが、どうもうまくゆかない。つまりオスの蛙にはなれないのだった。

なぜ、こんな夢を見ているのか。夢を見ながら小生はいろいろと思案した。思案するところは、いかにして自分の夢をコントロールできるかというものだった。夢の中でのこととはいえ、男である小生が女になるのは不自然だ。夢の中でも男でいたい。男として自己形成してきた小生には、いまさら女になることはできないし、ましてや男を恋するなどできるわけはない。しかも相手はオスの蛙なのだ。

なぜ、夢の中で蛙が出てきたのか。しかも牝犬である小生の、激しい恋の対象なのだ。蛙が恋物語と深い結びつきがあるとは思われない。蛙はだいたい、恋とは無縁の生き物だ。蛙の恋と言えば、メスの背中にオスが何匹も重なって、必死に交尾する姿が思い浮かぶ。その姿に変に感動した梶井基次郎は、これもまた変な小説を書いたくらいだ。それほど蛙は、麗しい恋とは無縁なのだ。

その恋とは無縁な蛙に、夢の中のこととはいえ、小生は激しく恋をしてしまった。しかも牝犬としてオスの蛙を恋したのだ。

なぜ、そんな夢を見たのか。いまだにそのわけがわからない。まあ、人間、生きていればいろいろわけのわからぬことに遭遇するものだ。しかし、夢は遭遇するというのではなく、無意識の彼方からやってくるものだろう。だから、夢の意味を明らかにしようと思ったら、フロイトやユングばりに、夢の科学的分析というものに頼らねばならぬ。そう思い至ったところで、夢について考えることをやめることとした。





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