増上寺塔赤羽根、外桜田弁慶堀麹町:広重の名所江戸百景

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(53景 増上寺塔赤羽根)

芝増上寺は上野の寛永寺と並んで徳川家の菩提寺。歴代将軍のうち六人の墓がある。浄土宗の大本山として、京都の知恩院をしのぐ勢いがあった。その増上寺の南西に赤羽根川が流れ、その一角に赤羽根橋がかかっていた。

この絵は、増上寺の五重の塔越しに赤羽根橋の方向を俯瞰した構図。手前右手に見えるのが五重の塔の上部。その左下手に赤羽根川が流れ、橋を渡ったところには番所がある。

番所の背後に見える壁は、九州久留米藩の上屋敷。久留米藩は、増上寺の警備を担当していた。そのため、敷地内には江戸最大の火の見櫓がたっていた。絵の右手奥に見えるのがそれだ。

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(54景 外桜田弁慶堀麹町)

外桜田は、桜田門の外側に広がる地域。桜田門から半蔵門にかけての堀を桜田堀とも弁慶堀とも呼んだ。桜田の名は、このあたりに桜の木が多く植えられていたことに基づくという。

この絵は、桜田門のあたりから半蔵門方面を眺めた構図。右側に土手が見えるが、これは江戸城の石垣の一部。石垣の内側は西の丸にあたる。石垣とは言っても、この当時には、下半分を土居とし、その上に石が組まれていた。

右手に見える屋敷は、彦根井伊藩の上屋敷。その先に見えるのが三河田原藩の上屋敷。更にその先に麹町があるはずだが、この絵には見えない。






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