独ロ対立の激化は世界の破滅につながる

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プーチンのウクライナ侵攻をうけて、アメリカおよびNATO諸国がロシアへの厳しい制裁に及ぶ中、ドイツもロシア制裁に踏み切った。これは第二次世界大戦後、国際政治にもっとも巨大なインパクトをもたらすと予想される。場合によっては、独ロ対立がエスカレートするあまり、世界大戦に発展しかねない危険をはらんでいる。

第二次世界大戦は、大局的にみれば、ドイツとソ連の戦争だった。イギリスやフランスも加わり、アメリカも加わることになったが、基本的にはドイツとソ連の戦争であり、その戦争をソ連が制した。それについては、ソ連は巨大な犠牲を払ったし、ドイツも手ひどい目にあった。この戦争でソ連側は、2600万人が死んだのだし、ドイツは数百万の人的損害のほかに厖大な面積の領土(東プロイセン及びケーニヒスベルグ)を失うことになった。だから、独ロ両国には、深い怨念の溝が横たわっていると考えてよい。

その怨念がこれまで爆発せずにきたのは、独ロ両国とも、抑制された態度をとってきたからだ。ドイツはソ連に与えた損害についてことあるごとに謝罪し、再びソ連(ロシア)を攻撃したりしないと、常に約束してきた。ソ連はソ連で、東ドイツを支配するなど、第二次大戦の勝者として振る舞うことができた。どちらの側も、互いに紛争を再現させないように努力する姿勢があった。

ところが、ドイツが公然とロシアに敵対するようなことになると、これまでの抑制された独ロ関係は極めて不安定な状態に陥る。その結果、両国内でのナショナリズムが燃え上がる恐れがある。そのナショナリズムは、ロシアにおいては、特にドイツを標的とした敵対感情を醸成し、ドイツにおいては、奪われた領土の回復運動という形で爆発しかねない。独ロ関係が再び、世界の最大の不安定要因になる可能性が大きいのである。

第二次世界大戦は、ソ連側に英仏米がついて連合軍を形成したが、今度は、ドイツ側にNATOとアメリカがついて新たな連合軍を形成するであろう。だから、独ロ間の戦争は、単に独ロ間の戦争にとどまらず、NATO及びアメリカの連合軍とロシアの間の戦争に発展する可能性が大きい。ロシアが、通常戦力でNATO・アメリカ連合軍に劣ることは明白なので、格戦力の行使に踏み切ることはほぼ間違いない。プーチンなら、それを選択肢から排除しないだろう。その結果世界にとって確実にいえることは、破滅が待っているということである。





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