女十題シリーズは、市井の女たちの何気ない仕草をスナップショット的にとらえたものが多い。これもそうした一点。おそらく夫を送り出したあとの、若妻のひと時を描いたのであろう。タイトルにある光は、明示的に表現されているわけではないが、画面全体の明るい雰囲気から、光がそこにあふれているのを感じさせる。
若妻と思われる女は質素な単衣を来て、テーブルの上に両肘を持たせかけている。視線は定まらぬようで、なにやら思案しているように見える。これから一日をどう過ごそうかと思案しているのかもしれない。
やはり、線をやや曖昧に引き、輪郭の中に色をおくという方法をとっている。画法としては単純だが、その単純さゆえに、絵に張りが出ている。
(1921年 紙に水彩 39.5×29.5㎝)
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