犬童一心「のぼうの城」:石田三成の水攻め

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2012年公開の映画「のぼうの城」は、秀吉の小田原攻めの一エピソードを描いた作品。秀吉は備中高松城の水攻めで名声を博したが、家臣の石田三成がその真似をしてうまくいかなかったというような内容である。犬童一心と樋口真継が共同監督して、2011年9月に公開の予定だったが、東日本大震災の影響で、2012年11月まで延期された。映画に出てくる洪水の場面が、大震災における津波を想起させて、人の感情を逆なでするおそれがあると判断したからだという。

小田原攻めの一環として、石田三成が武蔵の忍城攻略を担当した。忍城は北条氏の家臣があずかっており、城主は秀吉に内通して無血開城するつもりであったが、その息子が意地を張って抵抗し、三成率いる秀吉軍に立ち向かったところ、多勢に無勢で戦いに敗れるというような筋書きである。その息子が狂言師の野村萬斎が演じ、城主の家老を佐藤浩市が演じている。映画はこの二人の演技ぶりから成り立っているのだが、萬斎が張り切りすぎて、ややしらけるところがある。

見どころは、石田三成が忍城を水攻めにするところ。忍城自体もともと湖に囲まれていたのだったが、そこに更に利根川の水を加え、城を水没させようとするものだった。これは秀吉の水攻めを模範にしたものだが、城の立地条件とか、領民の気質とかが働いて、忍城は簡単には落ちない。それどころか、領民たちの働きもあって、水攻めのために作られた巨大な堤が決壊する始末。そういうわけで水攻め自体は失敗したが、なにせ絶対的な力の差もあって、忍城はついに開城する。

石田三成の忍城水攻めは実際にあったことだそうだ。石田三成は、戦には弱かったが、人の心を掴むのはうまかったらしく、この映画の中でも、話の分かる武将として描かれている。






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