アウシュヴィッツの解放記念日からロシアを排除する

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1月27日はアウシュヴィッツの78年目の記念日だというので、現地では記念集会が開かれたそうだ。前年までは、アウシュヴィッツをナチスから解放したソ連の後継者ロシアが毎年招待されていたが、今年はされなかった。ロシアのウクライナへの侵略に抗議する意思を示したということらしい。一方、アウシュヴィッツの解放とは直接関係のないアメリカの代表が招待された。招待されたのはハリス副大統領の夫ということだ、無論アメリカを代表するかたちで招待されたのであろう。

アウシュヴィッツで毎年行われている解放記念行事が、どのような意味合いで行われているのか、小生は詳しくは知らない。だが、解放ということには、解放された人々のほかに、かれらを解放したものがいたはずで、それがソ連であったことはまぎれもない歴史的な事実である。そのソ連の後継者であるロシアを招かなかったということは、解放者を解放者として認めないということだろう。アウシュヴィッツが位置しているポーランドが、ロシア嫌いなことはよく知られている。そのポーランド政府は、今回のウクライナ戦争について、NATO諸国ではもっとも強硬な反ロシアの姿勢を示している。その姿勢が、アウシュヴィッツの関係者をも動かしたということかもしれない。

だが、解放を記念した行事を催そうというのであれば、やはり歴史的な事実を踏まえて行うのがよろしい。歴史的な事実としては、ソ連がアウシュヴィッツの解放者であることはあきらかである。ところが、それを全く無視して解放を記念しようというのは、どういうわけか。

おそらく、ロシア嫌悪の感情がそこに働いているのであろう。その感情のうえに、不都合な歴史的事実はなかったことにしたいという思惑が働いているのかもしれない。だがそれは、歴史的事実を、政治的な思惑によって捻じ曲げるということにほかならない。そうした事実の捻じ曲げがまかりとおるならば、そのうち、アウシュヴィッツの解放はアメリカが中心となった西側諸国によってなされたのであり、その西側諸国の中には、今日のドイツも含まれるということになりかねない。それでは、理性ではなく、感情で歴史を判断するということになる。





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